子どもが歯医者を嫌がるときはどうする?無理なく受診につなげるために院長からお伝えしたいこと
2026/9/16
「歯医者さんに行こうと言うだけで泣いてしまう」「予約の日が近づくと嫌がる」「虫歯が心配でも、無理に連れて行ってよいのか迷う」。
このようなお悩みを抱える保護者の方は少なくありません。
私がまずお伝えしたいのは、子どもが歯科医院を嫌がる理由は一人ひとり異なり、気持ちを急がせないことが大切だということです。
年齢や性格、これまでの経験、その日の体調・気分を確認しながら、できる段階から歯科医院に慣れていく方法を一緒に考えていきます。
子どもが歯医者を嫌がる理由は、一律ではありません

歯科医院が苦手な理由を「わがまま」と決めつける必要はありません。
子どもにとっては、初めて見る器具の音やにおい、診療台に横になる姿勢、口を開け続ける感覚そのものが不安につながることがあります。
また、以前に痛みや怖さを感じた経験がある場合だけでなく、保護者の方の緊張が伝わったり、周囲から聞いた話が印象に残ったりして、来院前から不安が大きくなることもあります。
当院では、次のような点を確認しながら、お子さんに合った進め方を考えます。
- 年齢や言葉でのやり取りのしやすさ
- 初めての歯科受診か、過去に治療経験があるか
- 診療台に座ること、口を開けることへの抵抗感
- 痛み、腫れ、転倒など、急いで確認したい症状があるか
- 当日の眠気、空腹、体調、気分
同じお子さんでも、その日によってできることは変わります。
まずは「今日はここまでできた」を積み重ねる視点が大切です。
無理に治療を始めず、段階的に慣れることを考えます

痛みや腫れなど緊急性が高い場合には、状態に応じて必要な応急処置を検討します。
一方で、すぐに処置を始めなくてもよい状況では、いきなり削る治療に進むのではなく、歯科医院の環境や診療の流れに慣れる時間を設けることがあります。
一般的には、次のような段階を踏む方法が考えられます。
- 受付や待合室に入り、帰る
- スタッフと短く話す
- 診療室に入る
- 診療台に座る、または横になってみる
- 歯ブラシや小さな鏡でお口の中を見せてもらう
- できる範囲で検査や予防処置、必要な治療へ進む
すべてを一回でできるようにすることが目的ではありません。
お子さんが「次はもう少しできそう」と思えることが、その後の通院につながる場合があります。
当院でも、初めての場所や治療が苦手なお子さんには、会話をしながらトレーニングから始め、慣れてきた範囲で診療を行うよう努めています。
診療時間は内容によって異なりますが、1回約30分を目安に、お子さんの集中力や負担にも配慮して進めます。
保護者の方にお願いしたい、受診前の声かけ

受診前の言葉は、お子さんの安心感に影響します。
怖がらせないようにという気持ちから「何もしないよ」「絶対に痛くないよ」と伝えたくなるかもしれません。
しかし、診察や処置が必要になったときに、お子さんがだまされたと感じてしまうことがあります。
私は、年齢に合わせて事実を短く、落ち着いて伝えることをおすすめしています。
- 「歯を元気にするために、お口を見てもらおうね」
- 「先生やスタッフさんが、歯を数えたりきれいにしたりするよ」
- 「嫌だったら手を上げて教えていいからね」
反対に、歯医者をしつけや脅しの言葉として使うことや、保護者の方ご自身のつらかった歯科治療の話をお子さんの前で繰り返すことは、不安を強めることがあります。
受診後は、治療まで進まなかったとしても、診療室に入れた、椅子に座れた、お口を開けられたなど、できたことを具体的に褒めてあげてください。
当日の過ごし方で、受診しやすくなることがあります

小さなお子さんは、眠気や空腹、疲れによって気持ちが大きく揺れやすいものです。
予約時間は、できるだけお子さんが比較的元気に過ごせる時間帯を選ぶとよいでしょう。
- 時間に余裕を持って来院する
- 直前まで遊びや予定を詰め込みすぎない
- 満腹の状態は避け、軽く食事を済ませておく
- 普段使っている安心できる小物があれば持参を検討する
- 保険証・医療証などをあらかじめ準備する
来院時には、「今日は治療まで進めるべきか」「まずは慣れることを優先するか」を、症状とお子さんの様子を見ながら相談しましょう。
最終的な診断や治療方針は、実際にお口の中を拝見し、痛みや虫歯の進行状況などを確認した上で判断します。
怖くなりにくい通院につなげるには、予防の受診も役立ちます

強い痛みが出てから初めて受診すると、お子さんにとって歯科医院が「痛いときに行く場所」という印象になりやすいことがあります。
そのため、痛みがない時期から検診や歯みがきの確認などで通い、場所やスタッフに少しずつ慣れていくことも一つの考え方です。
当院では、お子さんのお口の状態に応じて、歯みがき指導、フッ素塗布、シーラントなどの予防処置を検討します(※処置内容や年齢、お口の状態によって保険適用となる場合と、自費診療[自由診療]となる場合があります)。
フッ素塗布は、一般的に定期的に行うことで虫歯予防の一助になるとされていますが、塗布をしても虫歯を完全に防げるわけではありません。
毎日の歯みがきや食習慣、定期的なお口の確認を組み合わせることが大切です。
特に、おやつや甘い飲み物を長時間にわたって口にする「だらだら食べ」は、虫歯のリスクに関わります。
食事とおやつの時間をある程度決め、お口の中が元の状態に戻る時間をつくることを意識してみてください。
当院での小児歯科の進め方

横山歯科クリニックでは、問診で保護者の方のお困りごとやお子さんのこれまでの経験を伺い、お口の状態を確認したうえで、必要な診療の順序をご説明します。
お子さんが不安そうなときは、まず診療室や器具に慣れるトレーニングを行い、できることから始めます。
診療後には、その日に行った内容やご自宅で気をつけていただきたい点を保護者の方へお伝えします。
痛みへの不安が強い場合も、表面麻酔などを含め、年齢や治療内容に応じた方法を検討します。
ただし、感じ方や治療への反応には個人差があります。
お子さんの様子によっては、予定していた処置を変更したり、別日に改めて行ったりすることがあります。
嫌がる気持ちを受け止めながら、次の一歩を一緒に考えましょう

子どもが歯医者を嫌がるとき、保護者の方が「早く何とかしなければ」と焦るのは自然なことです。
ただ、嫌がる理由を一つに決めつけず、お子さんの年齢、性格、過去の経験、当日の様子を丁寧に見ていくことが、無理のない受診につながります。
急な痛みや腫れがある場合は、我慢させず早めに歯科医院へご相談ください。
そうでない場合も、診療室に入る、椅子に座る、お口を見せるといった小さな一歩から始められることがあります。
当院では、お子さんと保護者の方の不安を伺いながら、受診の進め方を一緒に考えています。
一人で悩まず、まずは気軽にご相談ください。
この記事は一般的な情報提供です。実際の診断、治療方針、保険適用の可否は、口の状態を確認した歯科医師の判断によります。